中国で新型コロナウイルスによる肺炎が広がっている問題で、中国国家衛生健康委員会は28日、感染による死者が中国全土で106人に達したと発表した。首都北京でも初めて死者が確認された。感染者は1771人増えて4515人となり、経済活動への影響も拡大している。
同委員会によると、27日に中国全土で新たに26人の死亡が確認された。
北京で死亡が確認されたのは50歳の男性で、死因は呼吸不全という。8日に湖北省武漢市を訪れ、15日に北京に帰った後、発症した。感染が始まった同省に続き、いち早く移動制限措置を敷いた首都で死者が確認され、中国政府は事態を重視しているとみられる。
感染者が確認されていないチベット自治区でも世界遺産のポタラ宮の参観が中止されるなど、全国の主な観光地や観光施設が軒並み営業停止になった。北京の地下鉄駅でも乗客の体温検査やマスクの着用が義務づけられるなど、各地で大がかりな感染防止措置が始まっている。上海や深圳の証券取引所も、春節連休後の取引再開を2月3日に延期するなど経済活動への影響も広がっている。
感染の拡大が続くなか、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長が、北京入りしたことを自身のツイッターで明らかにした。
アダノム氏は26日、「最新の状況を知り、さらなる感染拡大を防ぐための連携を強化したい」と書き込んだ。WHOで中国を含む地域を担当する西太平洋地域事務局の葛西健事務局長も、アダノム氏と中国側との会合に加わるために北京に到着したことをツイッターで明らかにした。
WHOは23日、新型肺炎が国際的な「緊急事態」には当たらないと判断したが、事務局長が自ら中国に入り判断を再検討するための情報収集を進めているとみられる。
ロイター通信などによると、ドイツでも新たに感染が確認された。(北京=西村大輔、ローマ=河原田慎一)
チャーター機「おそらく2便では足りない」
中国・武漢市(湖北省)で発生した新型コロナウイルスによる肺炎拡大を受け、現地邦人の帰国を支援するため日本政府が用意するチャーター機の第1便を28日夜に派遣する方向で最終調整に入った。茂木敏充外相が記者団に明らかにした。約200人が搭乗し、帰国は29日午前になる見通しだ。
政府は当初、28日午前に出発させる方向で調整していた。日本政府関係者によると、中国側の受け入れ態勢の事情だという。菅義偉官房長官は同日午前の閣議後会見で「中国から許可を得られれば、出発できる態勢は整えている」と述べた。
茂木氏によると、28日朝時点で帰国希望者は約650人。第1便は中国到着後、29日午前に現地を出発して午前のうちに帰国する予定だという。第2便も派遣する方向だが29日以降の日本出発となる見通し。28日朝の公明党会合では、外務省の担当者がチャーター便の運航に関して「おそらく2便では足りない。政府専用機(使用)の可能性も排除していない」と説明した。
厚労省は28日、武漢市からの帰国者を乗せるチャーター機に医師1人、看護師2人、検疫官1人を同乗させることを明らかにした。機内で検疫を行う。高熱などで移動が難しいと医師が判断した場合は、搭乗を見合わせてもらうこともあるという。菅氏は会見で、チャーター機でマスクや防護服など支援物資の輸送も検討しているとした。
また、政府は28日午前、新型…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル